お墓に使う外国の石 カンボジア産の御影石について
2025年8月2日(土)
こんにちは。川崎市多摩区の石屋、吉澤石材店の吉澤です。
最近…といってももう使いだして数年が経ってはいますが、カンボジア産の石種がなかなかいいと思っています。
もっと違う石種もあるとの話は聞いていますが、うちで使っているのは白系御影石のOW-1、OW-3とライトグレー系御影石のカンボジアグレー。以上の三石種です。
ちょっとご説明してみたいと思います。
OW-1(OW-3)
聞いた話などを総合すると、OW-1とOW-3は同じ(あるいは至近距離)で採掘されている石のようで、おそらくOW-1の石目がギュッと詰まっている部分をOW-3として扱っているのではないでしょうか。どちらの石目もお墓で使うと少し青みがかって見えるようなきれいな白御影石です。
業界内ではOW-1のことをカンボジア614と呼ぶこともあります。
ただ「614」とはもともと中国福建省で採れていたG614という小目の白御影石のこと。残念ながら石材業界では外国産の石(中国産以外の石)でも、中国の似た感じの石の番号を冠して○○614とか、○○654とか呼ぶ傾向があります。これはもちろん偽装をしたいからとかではなく、単に石の雰囲気を皆が掴みやすいようにという意味でのことと私は理解しています。
それはともかくとして、このG614、サンプルとして見るときれいな白御影石ですが、建墓して屋外にあるとだいぶ色調も変わってしまうことがあり、私はあまりお墓の材料としてこの石をお勧めすることはありませんでした。
そうしたこともあり、OW-1という流通名があるのにわざわざ「614」の名称をかぶせるのはなんだかなあ、という思いがあります。
というのもこのOW-1という石(当然OW-3も)がなかなか良い石だと思えるから。あくまでも使用してみての個人的な感想ですが、オリジナルであるG614 と比べ石として数段上の印象があります。だからわざわざ中国材の名前を冠するよりも、素性のよいこの石を正当な名称で呼んであげたいと思うからです。

OW-1を使った洋型石塔

OW-1を外柵に使用した墓所
OW-3はまだ外柵に使ったことはありませんが、和型の石塔で一度使ってみました。
思った通り、OW-1の微妙な青さがより濃く見えるスッキリとした白御影石という印象。とても清潔感があり美しく見えますね。近いうちには外柵としても使用してみたいと思っています

OW-3を使用した和型石塔
両石種とも石塔として映えるのですから、もちろん外柵に使用しても全然問題ありません。
数多あった中国産の白御影石もさまざまな要因から今ではだいぶその数が少なくなり、かつ価格面でも高騰してしまい使いづらくなってしまいました。そんな状況の中で、ある程度値のこなれた、それでいて性質も安定しているOW-1(OW-3も)は小売りの立場の弊社からみても安心して使用できる白御影石だと認識しています。
カンボジアグレー
昨今人気があるインド産の濃いめの中間色と比べ、だいぶ色調が明るいライトグレーの石です。「白御影石はちょっと…だけど黒御影石や濃いめの中間色では少し濃すぎるな」という方にはお勧めの石だと思います。
実際に建てたお墓を見て感じるのは落ち着いて穏やかな印象。派手さや主張するという感じがない分だけ、長く飽きがこない石じゃないのかなと感じます。日本人好みでもあるんじゃないでしょうか。
この石も和型・洋型を問わず石塔として、また外柵としても問題なくいける石ですね。実は汎用性の高い石は石材店としてもとても重宝するんです。
石塔に使った場合の文字彫刻について記しておくと、正面の大文字はラッカーを入れる必要はないかと思います。しかし施主名や建立年、あるいは戒名などの小文字に関しては白くラッカーを入れたほうが良いと思います。

カンボジアグレーを使用した洋型石塔

小さめの墓所では石塔と外柵にも使用
OW-1のところでも書いたように、このカンボジアグレーはカンボジア654とも呼ばれることがあります。これも同様に中国で採れ、盛んに使われたG654というグレー系の御影石の名前から来ています。
ちなみに私の感覚では、カンボジアグレー自体はG654よりもだいぶいい印象が。建墓後の大きな変化は耳にしていないですし、石目も整っています。石屋としてG654よりも安心して使えるグレー系の石ではないのかな。
問屋さんの話によれば、時期により色の濃淡に多少のばらつきはあるそうです。でも、ひとつの組としての色合わせは十分に可能とのこと。
お墓の材料として、これから先の可能性を感じさせてくれる石であると思います。
今日は三つの石について書いてみました。
一時期は外国の石と言うとほぼ中国とインド、わずかに他の地域の石という印象でした。しかし中国の情勢もだいぶ変化し、多くの石種が採掘をやめたり枯渇したり、あるいは価格高騰してあまり使われなくなりつつあります。
もちろん、まだまだ中国の石も必要です。でも今回挙げたカンボジアの石、また同じ東南アジアのベトナム産の石などが使われてだしてきました。(石によってはもう数年ではなく10数年というものも)
日本の石も大切なのでお客さんに紹介していきたいですが、必要に応じて性質・品質のよい石ならば産地にこだわり過ぎることなく提案をしていきたいと思います。
(注)上記の三石種の名称はお付き合いのある問屋さんから聞いている情報です。同じ石でも他の名で呼ぶところもありますし、もしかしたら原石名としてはまったく別の名で流通しているのかもしれません。(またカンボジアグレーでは複数の種類があるとも耳にすることがあります)
※最後までご覧をいただきまして、ありがとうございます。
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