「石のまち」真壁石の産地、茨城は真壁町に行ってきました
2025年7月28日(月)
こんにちは。川崎市多摩区の石屋、吉澤石材店の吉澤です。
関東で昔から大変に親しまれてきた白御影石の真壁石。本日はそのふるさとまで行ってきました。
目的地はココ、桜川市真壁町にある株式会社海老原石材店さん。(写真は海老原石材店さんのFacebookページより拝借しました)
こちらの石屋さんは真壁石(リンクは以前書いたアメブロ記事)の採掘元。ホームページによると明治15年に創業の老舗で、工場の裏手には山から切り出してきた良質の真壁石がたくさんストックされています。真壁石の場合、いつもこちらに作製をお願いしています。
ただし今回は真壁石ではなく外国産の御影石の修繕のため。実は作業中に石を少し傷めてしまい、ウチでは手直しがうまくいかず作業をお願いしてきたという次第です。他所から納品されたものなので本来ならばお願いしづらい案件ですが、快く引き受けてくださって本当に助かりました。
今日はたまたま職人さんが表の仕事に複数出ているようで、工場は2名の方が作業をしていました。(残念ながら大口径と呼ぶ大きな丸のこが付いた石材の切削機は不調で修理要請中、動いていませんでした。)
弊社のような町場の石屋の場合は種々の理由から大きな加工機械を持たず、また毎日のように石材加工を行っているわけではありません。そうした我々にとっては、こうした工場を持ち加工を行っている取引先は本当に貴重で心強い存在です。今回のように自社にある機械では対処できないとか、うまくいかない場合にお願いをして助けてもらえるからです。
もちろん手持ちの機械で加工可能な花筒の穴あけや簡単な磨き・切削などは行うので、毎回のようにお世話になるわけではありません。それでも石材加工を日常的に行っている職人さんが持つスキルにはどうしてもかないません。なので海老原石材店さんは心強いパートナーとしてとても頼りにしている一社です。
石のまち真壁ではありますが、最近では石屋さんの数も減少傾向にあるようです。海老原さんの工場周辺にも多くの石屋さんの工場が軒を連ねていましたが、加工機械を動かしているところはずいぶんと少なくなってしまったようです。また、一見リニューアルしたのかな?と思うような建物もすでに石材加工の工場ではなく、異業種(産廃関係や他の置き場など)に変わってしまっているということ。
日本の各地でもかつては数多くの石材が産出されてきましたが、少しずつ閉山して市場から消えていく石も出てきました。ここ数年でもそうした話を複数聞いています。同時に真壁だけではなく他の国内石材産地でも職人さんが減り、石材を加工する工場が減少しています。
そうした時代背景の中、頑張って工場を維持して動かしている産地の石屋さんたちには本当に頭が下がりますし、彼らを小売店である我々も応援したいという気持ちになります。
どんな分野のことでも同じでしょうが、長く続いた石材加工技術も一度途絶えればそう簡単に取り戻すことができなくなります。いや、もしかしたら取り戻すことすら不可能になるかもしれません。
いくら国外の工場でお墓を作るケースが増えたといっても、外国に頼り切りの業界ではしまいには成り立たなくなることは必定。より質の高いお墓づくりを求める人の要求にも応えにくくなってしまいます。日本人のお墓を考えるとき、もし国内加工の技術を失えばそれは計り知れない損失になり、打撃にもなるでしょう。
技術の継承…石材業界の未来についてあれこれ考えながら帰途につきました。
考えてみれば、最近は真壁石を始めとした国内産の石材を使ったお墓をお客さんにお勧めする機会が少し減ってしまっていたかもしれません。
以前と比べれば少なくなりつつあるといえる日本産の石材。それでもまだまだ各地で多くの石材が採掘されているんです。熱意をもって頑張っている産地の仲間がいるんです。そうした人たちや石、国内加工の技術の魅力を町石屋がお客さんに伝える必要がありますね。
久しぶりの真壁行きは、気づきと反省の一日になりました。
※最後までご覧をいただきまして、ありがとうございます。
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(有)吉澤石材店 吉澤光宏
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