墓所外柵と洋型石塔+オリジナルイラスト。川崎市の緑ヶ丘霊園で4㎡墓所を建立しました

2025年7月27日(日)


こんにちは。川崎市多摩区の石屋、吉澤石材店の吉澤です。

今回は今月に川崎市営の緑ヶ丘霊園にてお引渡し&納骨を済ませた建墓工事について書いてみます。

ホームページをご覧いただいてのご来店でしたが、偶然にも市営霊園の当選者の申請会で地元石材組合が運営する墓地相談(ただし営業行為は一切行わず、建墓一般の疑問点におこたえするのみ)にお越しいただいた方でした。

お話を伺い、弊社での建墓例の写真などをご覧いただきながらシンプルでお墓参りのしやすいお墓を設計してみました。提案図面はこちら。

最初の提案図面

下の現況写真にもあるように、以前は入口に門柱を配して階段を上がる外柵が多かったです。でも最近はほぼこうした形状(俗にフロア型などと呼ぶことも)の墓所になることがほとんど。さらに今回のように門柱がつなないシンプルな形に落ち着くことも増えています。

この形のメリットは入り口の段さえ上がれば後は平らになっていること。従前のように膝を曲げてしゃがんでのお参りをするより、立ったまま石塔の前でのお参りが可能。かなり楽です。

また敷石を敷いてしまう事で雑草がシャットアウトできます。今回のお墓のように周囲を緑に囲まれた墓所の場合、先々は雑草に悩まされる可能性が大。その心配が無用というのも大きいですよね。またお掃除がしやすいことも長所のひとつだと思います。

それと今回は外柵のデザインとは別に、石塔に龍のイラストを入れたいというご要望をいただきました。提案図面では『○○家』と入れて、洋型の棹石(文字を刻む石)も「オルガン」と業界で呼ぶ形状ですが。

契約から石塔作製の過程でイラストを入れるのにふさわしい形へと形状変更などを行って仕上げていきました。

まずはお墓の工事の工程を紹介します。

現況写真。左右のお墓は門柱+階段、以前に多かった形です

最初に墓所全体を既定の高さまで掘削。その後に40-0砕石を何回かに分けて敷き込み、都度締め固めます。写真はまだ転圧途中ですね。規定まで高さが上がったらそこでOKです。

続いて配筋の様子です。改良マス・水抜き用穴をセットして準備は完了。鉄筋はD13を使い斜めにも配筋して補強、生コン打設時に組んだ鉄筋にゆがみがでないようにしています。鉄筋が砕石につかないようにサイコロ(コンクリの小さなサイコロ状の立方体)を入れて準備万端です。

基礎コンクリートの厚さはおおよそ15cmから17cm程度。養生期間をおいて工程は据付けに。

区画が返還墓所ということもあり、周囲のお墓は厳密には前通りが揃ってはおりません。間口寸法も手前と奥では異なっていることもしばしばあります。完成した時に両隣のお墓と違和感がないように、据え付けるお墓の位置を決めて墨だし。どちらか片方のお墓に合わせてしまえば、もう片方のお墓とのギャップが大きくなったりします。

微妙に調整。これって実はとても大事です。

根石(ねいし)の据付け

工程によってモルタルも増強剤を入れてよく練ったもの、またバサバサのものを使い分けます。これもまた大事な部分。根石や納骨室の部材はよく練ったモルタルで据え付けます。据え付ける石の下部をノミやカッターでギザギザに荒らしてありますが、その部分にモルタルが密着することでお墓の強度を高めることができるからです。

敷石の据付け

逆に敷石の場合には砂とセメントを混ぜただけのバサモルで高さを決め、最後にセメントを水で溶いたものをまんべんなく撒き、石を叩いて据付けていきます。

工程は進んですでに羽目石(お墓上部の囲い)まで据付けて、これから石塔の芝台(下段とも)を取り付けるところです。

芝台は納骨室の屋根にもなり、かつ洋型石塔の重さを支える大事な部材でもあります。当たり前ですが、ちょっとやそっとのことで動いてしまうのは絶対ダメ。複数の接着剤を使い分けて強度や性能を充分に引き出せる施工を行います。

これだけ多くの接着剤を団子状に配してあれば、石の面と接着剤の接着面積はかなり大きくとれるはずです。ここが接着剤施工では大事なところなんです。いくらいい接着剤でも少ししか使わなければ性能を発揮しきれません。また、面積が小さくなるということは、接着剤の劣化を考えても非常に不利です。

当然、芝台から上もご覧のように種類の異なる接着剤を組み合わせ、多く使って施工をします。

こうして洋型石塔の棹石まで据え付けて工事は完成。あ、そうそう。棹石の形が提案図面と違っているのがわかりますか?

左側こころもち上部よりに施主様ご希望の文字を、そして右側した寄りの位置には龍のイラストを刻み込んであります。(写真上では見にくいですが、お施主様のご家族が作成したオリジナルのためあえてこの写真にしてあります。ご容赦ください)

龍が天に上る様子を表現するため、イラストも縦長になります。あまり小さくなると石に彫刻するために限界も出てきます。そのためイラストをできる限り大きくできるよう、棹石全面を大きなキャンパスにできるように形状変更を行いました。

イラストそのものも、当初は龍のうろこまで緻密に表現されていましたが、石への彫刻に合うようにシンプルに。しかしできる限りオリジナルのイメージを損なわないようにと、幾度もやり取りを重ねて最終的にこの形へと落ち着きました。

正面からの写真はこちら。

お参りがしやすく、メンテナンス性も高いお墓。とてもよく仕上がったと思います。

先日納骨に伺った際にはあいにくの天候でしたが、お施主様やご家族の皆様にもとても喜んでいただくことができました。

イラストをお墓に刻む事例も時々ありますが、なかなか難しい部分もあったりします。それはペンや鉛筆で描くのではなく『石に刻む』という行為にどうしても限界があるからです。複雑になればなるほど大きな面積が必要になり、また線が多くなることで石に刻んだ際、何が何だかわかりにくくなってしまう可能性もはらんでいます。それにどこを刻んでどこを残すか、そんなこともイメージしなくてはいけませんね。

今回はそうした部分を一つ一つ考え、また描き手であるご家族様に頑張っていただいき、最終的にご希望に沿う形に持っていくことができました。思い入れのある龍のイラストをいい形で刻むことができて、本当に感謝しております。

納骨途中から雨が小やみになり、石に刻んだイラストもわかるようになってくれました。

今回は建墓のご依頼をいただき、完成時には嬉しいお言葉をかけてくださいまして、本当にありがとうございました。

※最後までご覧をいただきまして、ありがとうございます。
お墓以外にも石鳥居や記念碑のお仕事も承っております

似顔絵(有)吉澤石材店 吉澤光宏

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