インド産の和型石塔を建立。東京都稲城市の寺院墓地
2022年1月27日(木)
こんにちは。川崎市多摩区の石屋、吉澤石材店の吉澤です。
今日は東京都の稲城市のお墓で和型石塔の据付工事の様子をブログに書いてみます。
今回のお仕事はすでに出来上がっている外柵の上に、俗に和型墓石とも呼ばれる4段のお墓と墓誌を建てるという内容。施工前の様子はこちら。
通常このくらいの大きさの外柵では棹石(○○家之墓などと文字が彫ってある石)の幅が8寸(約24㎝)か9寸(約27㎝)の規格が納まりが良いです。参考までに上の写真では左側の石塔は9寸角ですね。
さて、工事としてはコンクリート製の仮蓋と御影石製の納骨室蓋石を取り外すことから入ります。
そして芝台(あるいは下段石)と呼ぶ石塔本体の台になる石の据付けを行っていきます。この外柵はコンクリート製納骨室なので、特殊な接着増強剤を混入させたモルタルを使って据え付けます。水平器を使って石の水平を確認しながら、節度ある所まで叩き下げます。
写真を撮り忘れてしまったのですが、この叩き下げる作業は大事ですよ。きちんと下げておかないと上の石を載せたときに沈んでしまいますので。そうした意味でも芝台を据え付けたあとは、しばらく落ち着かせるために他の作業などを行います。
今回はお墓の外柵がだいぶ汚れていたのでその清掃などを行いました。
お昼休みを挟んで午後からはいよいよ石塔本体の据付けに入ります。
芝台の上に中台をそっと載せてゴムパッキンなどで高さを調整します。水平がきっちりとれた段階で石の間に接着剤を入れていきますよ。
弊社ではこの接着剤も1種類だけではなく、性質の異なる2種類の接着剤を併用して石同士を接着していきます。カートリッジからにゅるにゅるっと出るグレー色の接着剤なら、どれもみな同じと思う人がほとんどだと思います。でも実際にどれでも同じなんてはずはないと私は考えます。
接着剤の単価が違えば、中身(主剤)に含まれている添加剤なども違ってくるのは当たり前のことです。
最近は「お墓じまい」の工事で比較的新しめ(施工後20年程度~)のお墓の解体事例も出てきました。たとえば先日は、お墓の移転の案件で施工後15年程度経過した自社施工のお墓の解体を行いました。
もうその時期は今使用している接着剤を使っていたわけですが、石塔の解体作業、本当に難儀してしまいました。紫外線や風雨にさらされる目地などは表面のみ多少の傷みは見られましたが、内側に使った接着剤は全く変化なし。がっちりと石同士をくっつけてくれていました。
分解するには大変だけど、少し割高でもやっぱりこの銘柄を使っていて良かったなと。少々大袈裟ですが、「良い接着剤を充分な量使う」こう思って工事をしてきたのは正解だったと心から思った瞬間でもありました。
安価な接着剤は傷みが早いなどという話も仄聞します。冷静に考えれば理解できることですが、やはり「安くて良い」というのは実際にはそうそうないのではないかと思うんです。これはお墓の工事でも全く同じだと考えます。
さて、話が脇にそれました。
現場用のカニクレーンが入ったおかげで順調に据付け作業がはかどりました。棹石まで無事に据付け完了です。
今回の石塔の石種はインド産のZMFという名前のグレー系御影石。古くから知られる銀河という石に少し雰囲気は似ています。どちらかと言えば白系に近い銀河に比べ、ZMFは色が濃い目。青銀河とか黒銀河などと呼ばれることもある石。
汚れも目立ちにくく、実は個人的にも好きな石のひとつでもあります(笑)
棹石に刻んだ文字は書家の先生の手によるもの。それをブラストで彫った後にノミでさらって仕上げ(サライ仕上)てあります。サライ仕上げは字底が整えられ、ノミ跡(あと)がつくことで光が乱反射して文字が引き立って見えますよ。
同じく水鉢の額もサライで仕上げます。家紋は「丸に揚羽蝶」。
もちろん目地だって割高!な弾性接着剤を充分に使い、丁寧に仕上げてあります。
墓誌の天額や石塔棹石背面の建立年月・施主様名は白ラッカーを入れて文字を引き立たせています。ちなみに便宜上「施主様」と書いていますがこちらのお墓は生前墓。俗に寿陵と呼ばれるお墓です。なので棹石には「施主」と刻まずに「山田太郎 建之」のように刻んであるんです。
地域によっては寿陵の場合は名前に赤ラッカーを入れる(朱を入れる)場合もあるようですが、このあたりの地域では昔から赤を入れたりすることはほぼありません。このあたりは地域性によって異なるようですから、一概に何が正解だというわけではありませんが。
もっとも、生きている人が建て主になるわけですから、赤を入れる必要性はあまり感じないような気はしますね。
それはともかくとして、冬の青空のもと、8寸角の和型石塔が立派に建ちあがりました。石の色も濃すぎず薄すぎず、落ち着いていてとても良い感じだと思います。
施主様にご覧いただくのがとても楽しみになりました。気に入っていただけるといいですね。
このたびは石塔・墓誌建立のご依頼をいただきまして、本当にありがとうございました。
※最後までご覧をいただきまして、ありがとうございます。
(有)吉澤石材店 吉澤光宏
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