2021年2月11日(木)


こんにちは。川崎市多摩区の石屋、吉澤石材店の吉澤です。

久しぶりのブログは先月末に仕上がったお墓の建立の様子をアップしてみますね。

こちらのお宅の墓地用地はまだ更地でした。

最初にここに伺ったのはちょうど一年ほど前。ご家族がお亡くなりになり、四十九日法要までにお墓を建てられないかと施主様よりご相談をいただきました。

約2m×2.7mとこの近辺ではかなり広めの区画。ここに外柵から建てていくなら速やかに使う石を決め、墓地全体の形なども決定していかなければなりません。こうした場合、もう具体的なイメージがまとまっているならすぐに動き出せるかもしれません。

しかしご家族を亡くした悲しみの中、葬儀や諸手続きなどを抱え、お墓のことまで考えていくのはかなり負担もかかるはずです。

また実際に石が決まったとしても、お墓の製作→据付け工事→完成まではそれなりの日数がかかるもの。すべてがうまく回れば何とかとは思いますが、どこかで不具合が起きれば納期内での完成はおぼつかなくなります。

そんな説明をさせていただきながら、こちらのお宅では最終的に一周忌での納骨を目指してお墓を考えていくということになりました。

そして後日…。

まず最初に周囲のお墓なども参考にした提案をしましたが、お墓参りのしやすい形をということで思い切って次のような図面を作成・再提案をしてみました。

敷地を目いっぱいに使って囲んでいく形ではなく、周囲はフラットに近い形。年をとってもお墓参りのしやすいお墓になるように。

中央少し後ろ寄りに丘カロート外柵を配置。この丘カロートはそれなりに広さがあり、通常のお墓のカロートと同程度か、あるいはそれ以上のお骨を内部に納めることが可能なんです。(カロートとは納骨室のことです)

塔婆をあげるのも後ろ側に回りやすいため容易。周囲の化粧砂利の下はコンクリート打設をして草が生えないようにする仕様です。

気を付けておきたいこととしては、周囲のお墓とは形状が異なるためにそこで違和感をおぼえるかどうか。このあたりの擦り合わせはとても大事な部分なのでよく打ち合わせ時にもお話をさせていただきました。

実際に契約後、工事の開始は年明けから。

まず遣り方を設け、根切り工事を行ってから割栗石を敷きならべます。

そしてランマー転圧を入念に行って地盤を締め固めていきます。

通常はここから型枠を入れ鉄筋を配りますが、ここの地盤は黒ボク土。丘カロート外柵は狭めの敷地に外柵石塔がすべて乗るので、よく転圧しても少し心配に感じる部分がありました。

そこで、コンクリート杭4本を丘カロート直下に打設して、基礎コンクリートと共に荷を背負わせることにしました。

ダブルスコップで杭が自立する程度の穴を掘り差し込みます。

ここで久しぶりに杭打機登場。杭にかぶせてエンジンスタート、打てるだけ打ち込んでいきます。ここでは2/3程度まで叩き込むと杭の頭が砕けるようになって、ほぼ打ち込みができなくなりました。

周囲のお墓から推測するに、杭を打たなくても恐らくは大きく傾くことなどはないかもしれません。でもお墓の性格上そして丘カロート外柵であることを考えれば、やはり杭打設をしておいて正解でだと私は思います。

また当初、周囲の縁石部分と丘カロートの基礎は別々にする予定でしたが、大きな盤で重量を受けたほうが丈夫なため一つの基礎にすることに軌道修正。

型枠を入れて13㎜の異形鉄筋を井桁に組みました。あとはコンクリートの打設ですが、その様子はコンクリを練ることに夢中になりすぎ写真におさめるのを忘れてしまいました。

ちょうど寒い時期だったのでコンクリの凍結防止のため、ビニールシートや南京袋などを使って養生。日にちを置いてから型枠を外しました。

上の写真は据付け開始前の様子ですね。10日以上置いたので据え付ける分にはもう問題もありません。

いつもと同様、事前に下ごしらえをしておいた根石周り・縁石を決められた位置に樹脂モルタルで据付け。敷石が来る場所も手ダコで転圧し、鉄筋を入れてコンクリ打ちまで終わった様子です。ここまでおおよそ2日半。

もたもたしているように思えるかもしれませんが、それにはちゃんと理由があります。

その理由…それはお墓工事では「これ以上は進めてはいけない」という部分があるからなんですね。

例えば砂とセメントを混ぜたものをモルタルと言いますが、モルタルに適量の水を加えよく練った状態にして石を据え付けるのが昔から据付工事の王道です。もちろん石の方も、モルタルに接する部分にはカッターを入れたりのみで叩いたりして、デコボコの状態にして据え付けなくてはいけません。

このくぼみに練ったモルタルがくいつくことで外柵の強度が高まります。もしモルタルの水分が足りずバサバサの状態だったり、石の底面が凸凹になっていなければ、ちょっとしたことで外柵が動いてしまうことになりかねません。

ここで水分を適量加えるということは、モルタルに柔らかさが出るということでもあります。これがある程度固まらないうちに次の石を載せたり叩いたりすれば、せっかく据え付けた石が「縁切れ」を起こしてしまいます。これではいくらステンレス補強金具などを使ってもその意味は半減です。据付工事では絶対に避けるべきことなんです。

石は据えたら動かさない。これが基本です。そしてこの基本はモルタルばかりでなく、接着剤施工でも同じ。少なくとも一晩はおかなければいけないと私は考えます。

だから養生には時間をかけますし、もし次の作業ができる余裕があったとしても先には進めない。作業員の手間賃を考えればどんどん先に進めたほうが安上がりになるし、提供する金額もいくらかでも下がるのですべて良いような気もします。

でも弊社では効率を追うのではなく、建墓の品質管理の方を大切にしたいと考えます。

さてその翌日、まずステンレス補強金具の締め込みと納骨室敷石の目地作業。内部のマスキングテープを張っていよいよ天板を据え付けます。

ここでは上に石塔の重量がかかるため、エポキシ系屋外用接着剤と変成シリコン系弾性接着剤を併用して据え付けていきます。

エポキシ系は屋外用で硬化後もわずかな弾性を有し接着力もありますが、ここでは主に石塔据え付け後の沈下を防ぐことに期待。変成シリコン系を多めにおいて防水と接着力を求めます。

天板2枚を据付け後は塔婆立を取りつけます。これも弾性接着剤を使い、ステンレス製の芯棒を入れて転倒防止を図ります。写真を撮り忘れましたが、弊社では塔婆立に必ず芯棒を入れることを怠りません。

接地面積のわりに高さがある塔婆立は構造上かなり不安定なもの。今まで強風時に倒れたりした事例を見ると、経年劣化でどうしようもなかった場合を除き、芯棒が入っていなかったり施工不良があったりということが多かったですからね。

この日の主な仕事はここまで。出来たら羽目石を据え付けたかったのですが、高さ調整をしながら仮置きしたところ少し寸法が伸びていたために取りやめにしました。あまりあって欲しくはないですが、図面上と現物である程度確認しても、それを組み上げたときに微妙な誤差が出てきたりするものです。

ちょうど違う現場での作業もあったので半日で退散です。

羽目石の寸法をしっかりと調整して臨んだこの日。まずは石塔本体の据付からです。

ここでも2種類の接着剤を併用。変成シリコン系弾性接着剤とこんどはエポキシ系接着剤ではなくブチルゴム(便宜上接着剤と書いてしまっていますが)を使っての据付です。

このブチルの大きな特徴のひとつは完全硬化をしないこと。ネチャネチャした状態がずっと続き、耐熱・耐水・対候性が高く屋外での耐用年数が長い。また反発力が低いために瞬間的な応力には強く、それでいてゆっくりかかる力には動きやすい防振性にも優れた性質も持っています。

エポキシ系も変成シリコン系も硬化するため、繰り返しかかる大きな力を経験することで少しずつ傷みが出てくることは避けにくい。それを補う意味でのブチルということです。

このブチル、弊社では昨年中頃より免震パッド施工から切替えて使いはじめました。今まで使っていた免震材がダメということではなく、これからは使用場所や状況などによって適したものを使っていこうと考えています。

ただ単に同じことを繰り返すだけではなく、日頃の経験や他地域の同業の仲間からの情報収集などを通じ、お墓の工事も少しずつバージョンアップをさせてきましたよ。

さて石塔が据わればあとは敷石据付け、そしてコンクリート打設です。広めの個所にはひび割れ防止にワイヤーメッシュを入れ水抜き穴も両側手前に設けます。

翌日、穴部分に防草シートを敷き化粧砂利を敷き込みます。

そして完成。丘カロート部分はこじんまりとしているものの、石塔が建つ高さは周囲のお墓と大きく差が出ないよう設計をしました。

石塔そのものは和型でなく縦洋型。そのためどうしても高さは和型に一歩譲ります。ですが棹石幅がそれなりにあるので存在感があります。

また、幅があるがゆえに棹石背面には広大なスペースが。

ここがそのまま戒名を刻むスペースになります。もちろん羽目石(左右囲い)の一方を加工し、墓誌を据え付けることも可能です。しかしここ(棹石裏)を使うことで墓誌分の経費はかからないのは、メリットのひとつでもありますね。(※和型でも棹石の左右のスペースを墓誌代わりに利用できます)

ちょうど二枚目の写真、完成予想図と同じような角度から。

墓地外柵の形状がお隣とはまったく異なるため、その違いはハッキリとわかります。ただし貧弱さや見劣りがするといったことは全くなく、お参りしやすいとてもいいお墓が建ちあがったと思います。

今日のご法事後の納骨時、施主様やご親戚の方はとても喜んでくださり、本当にホッとしました。

いろいろなことを想定した説明をもとに、ご納得いただいた上での建墓とはいえ、できてみてイメージが違ってたというのでは石屋としてもとても残念です。でも考えていたよりずっと良かったよ、と言ってもらえるのは本当にありがたいし嬉しいもの。

この瞬間のために仕事をしているんだと思えるひと時です。

このたびは吉澤石材店でお墓を建てていただきまして、本当にありがとうございました。

これからもこういう喜びを味わえるよう、そして工事においては品質維持を第一として頑張っていきたいと思います。

※最後までご覧をいただきまして、ありがとうございます。

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(有)吉澤石材店 吉澤光宏

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