石塔水あか落としと地震対策が完了。狛江市の寺院墓地
2020年5月2日(土)
こんにちは。川崎市多摩区の石屋、吉澤石材店の吉澤です。
一昨日、昨日と狛江市の寺院墓地で、石塔・墓前灯篭の据直しを始めとした墓地リフォーム工事を行ってきました。
もともとは、お墓の花筒が劣化して外れてしまうのでどうすればいいかというご相談。さっそく現況確認をしてみると、プラスチック(塩ビ)製の花筒が経年劣化。ネジ山が悪くなって取り付けができなくなった状態でした。
実はこの古い花筒の故障、大切に使っていても年数を経ることで必ず起きてしまいます。花筒本体の材質上避けられません。弊社でも相談を受けることが多い案件なんです。
今回は「切出し水鉢(きりだしみずばち)=花筒が付いている部材」を持ち帰り工場で穴をあけなおして、落とし込み型に変更するということになりました。
それと同時に石塔の目地が傷んでしまったので、これについてもどう直せばいいのかという相談もお受けしました。こちらもよく尋ねられる案件。これについては大きく分けて2つの選択肢があることをお伝えしました。すなわち下の2通りの方法です。
- 今の目地を取り払い、新たにセメントor弾性接着剤にて目地を行う方法
- 石塔本体を一時取り外し・清掃したうえで、弾性接着剤を使って据直し。目地も弾性接着剤で行う方法
当然1より2のほうが手間がかかるため、経費も余計に掛かりますね。なので1のほうがより手軽なリフォームということになります。
ただし、ここでひとつお客さんに知っておいてもらいたいことがあります。それは「今の石塔がどんな方法で施工されているのか」ということなんです。
このお宅のお墓は昭和50年代に建てられたもの。つまり最近の施工ではありません。
その当時の施工方法は石塔(墓石)の石はセメントを付けたりして水平を取り、積み重ねられているものがほとんどです。当然、目地もセメントで施工されています。当時の標準的なお墓の施工方法ですし、大きな天災でもなければ問題なく(といってもセメント目地は劣化して剥がれることが多い)建ち続けていくはずです。
しかしながら、ただ積み重ねてある状態に近いお墓では、これから先のことを考えるととても不安になりますよね。
今回のお客様にもこのお話をしたところ、2の方法でお願いをしていただきました。あわせて墓前灯篭も火袋から上が外れていたためにそれも取り外して接着剤施工へ。
現場用クレーンで石塔の部材三段を吊って取り外してみた状態がこちらです。一番下の芝台(あるいは下段)は温存し、上側3段の部材を据えなおしていきます。
石があったところはセメントのアクと水あかがこびりついていますね。これらを取り除くのは、やはり石を外した機会が一番です。時間をかけながら清掃し、今度は接着剤をたくさんつけて再据付けに入ります。
水平を取りながら次々に石を据え付けます。
いつものように棹石(一番上の石)と上台石(二段目の石)との間、上台石と中台石(三段目の石)との間には免震材を挟み、弾性接着剤を併用して据え付けます。免震材もそれなりに有効だとは思いますが、団子状に配した弾性接着剤がグチャっとつぶれて広い範囲で石にくっつきます。
しかも免震材分のクリアランス(隙間)が確保されます。この隙間こそ弾性接着剤の施工では大事なのです。隙間がないようでは接着剤の性能を充分に引き出すことはかないませんので。
灯籠も同じ要領で取り外して、合口(あいくち=石の合わさる面)のセメントをきれいに剥がしてから弾性接着剤で接着。弾性接着剤は変成シリコン製。
セメントとの相性は良くないためこの作業はかなり重要なところです。
石塔本体と灯籠をすべて据直し、穴をあけ終わった水鉢石を戻して作業が完了です。傷んだ外柵のセメント目地も補修してあります。でも当然のことながら全体の景観はそう変わるわけではありませんね。
しかし近くに寄って見ると、水あかはきれいに落ちているのでだいぶすっきりとした感じにはなっています。黒い御影石なので経年による色あせなどはどうしてもありますが、くすんだようになった水アカはきれいに落としました。
濃い色になっている部分は、実は水あかが溜まっていた箇所でもあります。
見た目は大きく変わらないと書きましたが、今度は石同士が弾性接着されているのでその強度は従前に比べてはるかに高くなっていると思います。(ただ、やたらむやみに免震とか耐震などとは言い切れません。それは地震がどこの地点でどのくらいの規模で起きるのか、またそれが起きた場合でも、同じ墓地内であっても墓所の立地によって受ける影響もまるで異なってくるからです。)
花筒も落し込みのステンレス製になったので取り扱いもだいぶ良くなりました。今後のお墓参りの時にそれを実感していただけるものと思います。
何はともあれ無事に作業を終えられホッとしています。お客さんにも明日、完成報告です。
このたびは作業をご用命いただき、本当にありがとうございました。
※最後までご覧をいただきまして、ありがとうございます。
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(有)吉澤石材店 吉澤光宏
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