傾斜地に建つお墓のリフォーム工事が終了しました。東京稲城市の寺院墓地


2017年9月9日(土)


ご無沙汰しています。川崎登戸の町石屋、吉澤石材店の吉澤光宏です。

7月中旬に解体を開始したお墓のリフォーム工事。お盆休みや他の工事など、半月強の中断を挟んでやっと完成しました。

間口約3.5m×奥行約4.2mの広々としたお墓です。

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もともとは大谷石製の外柵、ツバキの木が茂ったお墓でした。敷地が広いため、墓所前面を直角にして新しくなりました。

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今回は山の斜面に沿ったお墓だったので、リフォーム後に不同沈下(傾き)を生じないよう配慮。根石(土台)部分には型枠ブロックを使った工事を行いました。

通常すべて御影石を使った工事をすることが多いですが、お墓の総重量がかさむことを考えての型枠ブロック仕様です。お墓の右側面は1m近くの立ちあがりになるので、石を無造作に何段も積み上げるのは少し心配なんですね。

その点、型枠ブロックは鉄筋入り。普通のブロックと違い、完成すればコンクリート擁壁と同程度の強さを持つ製品なのです。

古いお墓の石をすべて撤去後、仕様に基づき、規程の深さまで根切り(掘削)します。ブロックを積む高さに応じ、底板コンクリートの幅も変わってきます。

ちなみに、写真奥で型枠ブロック3段積み。手前側で5段積みです。左側の手前は2段積みにしました。型枠ブロック仕様の仕事はそう多くないので、少し詳しく経過をたどります。

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転圧をかけた後に、2m長のコンクリート杭を要所に打設。その後、砕石を敷き込み床付け面が完成。鉄筋を組み上げます。

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この状態から、底板コンクリートを打設します。これだけ鉄筋が入っているので、完成すればガッチリです。

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下の写真は左側。型枠ブロックの形状がよくわかりますね。

開口部が大きく、ここにコンクリートがガバガバと入ります。それぞれに鉄筋が入るので、ずれたりする心配もありません。もちろんブロック同士を繋ぐ横筋も。

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型枠ブロック完成後を俯瞰した様子。写真を撮る余裕がなかったので、既に納骨室や階段周りの掘削が終わってしまっていますが…。

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傾斜地なので念のため、ここも4本ずつコンクリ杭を打設です。

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そしてここからはいつもの作業。鉄筋を入れて基礎コンクリートを打設、養生後に据付け開始です。水平器を当ててしっかりと垂直を確認中。水糸(黄色い糸です)で前通りを合わせながらの作業。

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要所要所にはステンレス製の補強金具を取り付けます。

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また、向かって右側前方の型枠ブロックには、ステンレス製の全ネジダボを設置。ここに据付ける均石(ならし)をしっかりと固定します。こうしておくことで、そう簡単に崩れたりすることもなくなると思います。

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均石、階段の一部、納骨室が据え付けられた状態。この時点で実はあと一息くらいの思いを持っていました。でも今考えるとゴールはまだまだ先…。

カートクレーン(現場用の自走式クレーン)を据えたり仕舞ったりしながらの作業が続きます。

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層塔が建つ位置にもコンクリ杭を打ち込みます。このお墓は合計16本の杭を入れたことになりました。当然、ここにも基礎コンクリートを打設。数日おいて土台の石を据付です。

その間、羽目石という囲いになる部材を据付けておきます。

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並行して、石塔据付けも。新規の芝台上にクリーニングした福島産の黒御影石が乗ります。そこそこ水平が取れそうだったので、免震パッドの「絆」を使っての施工です。

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層塔は手加工の製品のため、石の合わせ目がデコボコ。ここは接着剤を入れたモルタルを使って据付していきます。かなり背丈が高くなるので慎重に作業中。

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ここでようやく完成が見えてきました。

しかしながら、とにかくなぜか時間がかかる。

一日目いっぱい作業しているのに、思ったように作業が進みません。一度荷物を取りに下ると、再び上がってくるのにずいぶんと時間がかかることも大きな原因かもしれませんね。

お墓の雑草対策として、このお墓では外柵内のコンクリート打ちをしました。写真は敷石据付け部分の下地ですが、大体同じような感じで、厚み5cm程度でワイヤーメッシュを入れて全面コンクリ打ち。

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広いお墓です。土のままでは後日、必ず雑草に悩まされることになるでしょう。

本来は草むしりをすればいいのかもしれませんが、ここのお墓は上がってくるだけでも労力を伴います。なるべく墓参の方の負担を軽くしてあげられれば良いと思います。

そして今日、墓前のコンクリート打ちを行ってようやく作業終了。

写真で見ると今一つ判りづらいですが、実際はかなりの広さのお墓です。メインの黒御影の石塔が、1尺角と呼ぶこのあたりでは大柄なもの。その石塔が小さく見えてしまうのですから。

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メインの石塔には、新たに黒御影石の笠付香炉を合わせてみました。インドの石なので、少々色が濃いですが、立派になったお墓にぴったりだと思います。

今回のリフォーム工事では、お施主様と打ち合わせの上で、盛り土の高さを従来より約20㎝低めにしました。そのため、外柵の腰高感もあまり感じることなく良い雰囲気に収めることができたように感じます。

ただその分、2トン車で5台ほどの残土も生じました。(型枠ブロックの底板で生じた残土もあるので)

土をいじる場合に、広い面積になると、考えるより土の体積が多くなるということを改めて感じました。今後の糧にしたいと思います。

さて、長期にわたって通いつめたこの現場もこれで一区切り。入念に作業をしましたが、とにかく完成するまでにずいぶんと時間がかかってしまいました。

お施主様には仕事をさせていただいた感謝、そしてそれと同じくらいに申し訳ない思いもあります。さっそく明日にでも工事写真などを揃えて完成報告をしてこようと思います。

このたびは本当にありがとうございました。


※最後までご覧をいただきまして、ありがとうございます。

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