川崎市多摩区の吉澤石材店です。

今日は友人でもある、今治市の余所国屋さんの小田社長と箱根の地を訪れてみました。

ここの目的はずばり元箱根石仏群。神奈川が誇る石造りの国指定重要文化財です。

久しぶりに目にする箱根の石造物は、相変わらずすごい存在感。

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箱根山宝篋印塔。相輪部分は後補。永仁四年(1296)建立 作者:大蔵安氏

宝篋印塔(ほうきょういんとう)はしっかりとした作りで、よく見ると笠の部分には梵字でお経が刻まれています。そもそも『宝筐院塔』とは宝筐院陀羅尼経というお経を納める塔という意味。

この屋根の梵字もこのお経なのかもしれません。(※小田社長よりご指摘があり、宝筐院陀羅尼ではなく随求陀羅尼だということが確認されました。)

また、格狭間(こうざま)と呼ばれる部分にはこの塔の略縁起の碑文が刻まれています。作者の名前もクッキリ。

この塔が出来てから今年で721年目を迎えているわけですが、これら文字彫刻の保存状態の良さには驚かされますね。

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大和の石大工、大蔵安氏の名がみえる。

国道脇にある五輪塔もバランスが素晴らしい。どの角度から見ても伸び伸びとしています。

私のような者でも作り手の圧倒的なセンスを感じることができます。手本のない状態からのこの造形。半端じゃないですよね。

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箱根五輪塔。雪をかぶった五輪塔も格別の風情がある。

石は間違いなくこの地で採れたもの。今で言う本小松石根府川石の仲間の石たちです。箱根山の噴火から生まれた安山岩の質の良さがわかりますね。

 

ここで、これら素晴らしい石造物を見て、私が一番に思いを致すこと。それは700年以上前にこの地に築かれた石造物が、こうして今なお存在している理由でもあります。

もちろんこの石造物たちは隠れなき銘品です。そして石も悠久の時を超えてなお、朽ち果てることのない銘石です。

そしてこれら石造物を造立し、地蔵信仰をこの地に根付かせた名僧 忍性と、石大工 大蔵安氏の卓抜した技量によるところは間違いなく大きいでしょう。

ですが今も存在し続けるもっと大きな理由。

それは石造物建立後のいつの時代にも、それらを大切にしてきた名もなき民衆たちの信仰心によるところが、より大きいではないのか。私はこんなふうに考えます。(あくまでも私見です)

石屋として銘品を見て満足するだけにとどまらず、いつでもお墓を建てる方の姿をその向こうに見ながら仕事をしていきたい。

そんな思いを新たにさせてくれる銘品たちとの再会でもありました。

また、よろしくお願いします。


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